『准教授、高槻彰良の推察』 - きっかけが多いって最高！

准教授・高槻彰良の推察　沢村御影　角川文庫

（※この記事にはプロモーションを含みます）

私のきっかけ

オーディオブックです！民俗学っていう文字に惹かれました。

なんとなく1巻目を聞いたら、ドハマりして連日延々と聞き続け、その後電子書籍で小説も揃えました。満足。

ストーリーとしては、幼い頃に死者のお祭りに紛れ込んでしまって、「孤独」という呪いをかけられた結果、嘘をつく人の声が歪んで聞こえるようになってしまい、家族をはじめとした人間関係がこじれ、人を避けている深町くんのお話です。

大学生になって、民族学の准教授である高槻先生に出会いますが、彼もかつて神隠しにあい、人生が狂った結果、真相を知りたいという気持ちから怪異を追い求め、怪談を研究しています。

人を避けているけれど面倒見のいい深町くんが、怪談好きで暴走しがちな大型犬の高槻先生の助手になって、フィールドワークで怪談を調べるのですが、序盤は本当の怪異ではありません。勘違いとか、人が起こしたものです。けれど、どんどん本物の怪異が近づいてきます。

あと怪談のうんちくも仕入れられるのがおもしろいです。シリアスな展開が続くと、高槻先生の元気いっぱいの講義シーンを読みたくなります。この大学の学生、本当にうらやましい。都市伝説や怪談のこんな楽しい講義が聞けるなんて最高じゃないですか。

好きなエピソード

番外編で、難波くん視点で深町くんを語るお話。

深町くんがマルチ商法にひっかかった同じ授業を取っていた女の子を助けたエピソード、けっこう衝撃的でした。気がついたら無視することができない性格なんだろうなーとは思いながらも、こんな具体的な行動を取っていたんだなって。その女の子は深町くんに惚れて、告白もしたけど、深町くんは丁重にお断りしていることも明かされたのです。

これは、難波くん視点だから描くことができるエピソードだなって思います。深町くん視点でこのエピソードはつらそう。すごく、本人落ち込んでそう。その後、この告白の件は本編でも触れられはしますが、具体的なことはやはり番外編で。その後のちょっと気まずい感じだけ本編で。このバランス、ありがたいです。

というか、難波くんはふつうの大学生で深町くんとの距離のとり方が上手くて唯一深町くんがちょっと心許している友達です。難波くん、本当にいい人で、大好き。途中ですごく二人の関係が不安定になるのですが、難波くんはひたすらにまっすぐでいい人。大好き。彼女にベタ惚れなのも、大好き。

小説（原作）

本編の最後と、番外編2冊に、深町くん以外の視点のお話があります。これが良いのです。

難波くん視点は最高に大好きなのですけれど、それ以外にも高槻先生や、先生の幼馴染で深町くんとも仲の良い刑事の佐々倉さん、そしてしばらくしてから登場する遠山さん視点とか、好き。

本編だと、2巻目で先生の叔父さんが出てきて深町くんと晩酌するところとか、5巻の深町くんがかつて迷い込んだ異界に再び踏み込み話とか、8巻で喧嘩した幼馴染コンビを見守っている（巻き込まれている）深町くんとか、9巻で難波くんとギクシャクしちゃう話もだけどゼミの他の子と交流している深町くんとか、好き！10巻はヘビーだった。最近先生への精神攻撃がすごい。

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