『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成 KADOKAWA
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私のきっかけ
オーディオブックです。
今までアニメ化した作品ばかり取り上げていましたが、一般文芸も扱います。
というのも、私はオーディオブックが大好きです。なので、オーディオブック化した作品で気に入ったものはどんどん紹介したいのです。
そんなわけで、この作品もオーディオブックで聴きました。
就活経験があればいろいろと思うところもある作品ですが、就活未経験者は読まないほうがいいです。出てくる登場人物はみんな嘘つきなのですが、就活選考の場で、自分が良く見えるようちょっとエピソードを盛る、ということではなく、なんかガチで嘘ついてんなというキャラクターが多くて、実際はそんなことないよ？と思いました。
まあ、そんなわけでストーリーとしては、とてつもなく勢いがある人気企業の椅子を争った、新卒採用の最終選考でのお話になります。1ヶ月後の最終選考は六人全員でのディスカッションで、その期間内に全員が仲を深め、協力し、場合によっては全員の採用もあり得るという内容です。
そのため、六人は役割分担をしたりしながら資料を集め、準備を進めるのですが、直前になって「採用は一人だけ」となったことを告げられます。今まで全員で採用されることを目指して協力し合ってきたのに、ここにきていきなり「一人」。しかも、その一人を六人が話し合って選ぶことが選考内容という、すごく嫌な展開です。
面接官ではなく、自分たちで一人を選ぶのです。ふざけた企業で、正直この時点でこの企業はナシだろうって感じですが、とてもキラキラした部分を押し出した乗りに乗っている企業で、ものすごい倍率を経てここに至ったということもあり、辞退が惜しいと思わせる状況に追い込んでいるところが、本当にイヤな企業です。転職組なら避けるけれど、新卒組は船から降りられないでしょうね。
そして最終選考の場では、誰か置いたかわからない不可思議な封筒が表れ、この一ヶ月で信頼関係をつくってきた六人それぞれの、嘘つきな面を告発してきます。
一人目がパンチが効いていて、部活内でいじめをして自殺に追い込んだキャプテンという告発です。それぞれ、人間性が疑われるような告発をガンガンされていきます。なのにカメラで観察している面接官は介入しないのです。ひどい状態になっているのに、まったく介入しないのです。やばすぎますよね。
全員が嘘つきだし、どう考えても企業もやばいし、すでに社会人になっている側からしたらドン引きな舞台設定ですが、そこがまたおもしろいのです。
好きなエピソード
エピソードというか、この物語の肝は伏線です。あらゆるところに伏線が張り巡らされ、それが回収された時、見える景色がまったく違ってくるのです。
伏線があってどんでん返しがあることを事前に伝えられることで、逆に驚きを褪せさせてしまう作品もありますが、これに関しては問題ありません。伏線があるんだろうなと思っても、それを超えてくる回収をしてくるのです。
個人的には、インタビューでのとある「こいつ、非常識だな」と思うちょっとしたエピソードが、最終的に活きてくるところが好きです。
小説（原作）
本屋大賞もとったことがある作品です。
文庫本より、単行本の表紙のほうが印象に残っている人が多いかもですが、どちらも良いですよね。
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価格:1760円 |
オーディオブック
Audibleで配信されていて、朗読は声優の木村良平さんです。『黒子のバスケ』の黄瀬くんの声の方みたいです。出演作品を見たら、私は『満月を探して』の英知くんが印象あります。
内容的に、朗読だととある仕掛けへのミスリードが生じると思う方がいらっしゃるかもですが、ひとり朗読が好きな人にはあまり違和感はありません。
映画
映画化をしたことで、私も書店などで目にしていてタイトル覚えていました。
映像になると、ピリピリした空気感の表現がとても良い感じに表現されそうですね。そしてインタビュー部分をどういった画にするか気になるので、見てみたいです。
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